誰だって、友人から、悩みや愚痴を聞くことがある。
「彼から別れたいって、急に言われたんだよね。」
「今年ボーナスなしだよ。」
「妻から小遣いを半分に減らされちゃってさ。」
自分にとって、何か不都合なことは常にあるもんで、
そんな悩みをこぼしたくなることはある。
そんなときに、さらに苦境に陥れる方法は簡単だ。
「え~、ひどいよね。」
「そんなことってあるの!」
「考えられない。」
友人にとっての相手方、
この例でいうと、彼、会社、妻が非常識であるかのように言うことだ。
友人は、水を得た魚のように、
「そ~だよね~。」
「やっぱりそう思う?」
「自分でもおかしいとは思っていたんだけどさ。」
ここまでで、友人の心のなかでは、
おぼろげな不満が確信に変わっていく。
「やっぱりか!(怒)」
その場は、やけに盛り上がります。
悩みを聞いてもらい、同意までしてもらって勇気百倍の友人。
友人に喜んでもらって、いい人気取りの自分。
さあ、そこから苦境は深まります。
別れを切り出した彼には早速電話です。
「急に言うなんて、ひどいんじゃない?」
でも、別れを切り出した彼には、ちゃんと理由があります。
何度も約束を破られたので、さすがに愛想がつきかけているのです。
そこに、反省どころか、逆ギレで「ひどい」と言われて、
さすがにうんざりです。
ボーナスがゼロだった人は、上司にかけあいます。
「ゼロってのは、いくらなんでもどうなんですか!」
本人の会社への貢献度を考えると、妥当だと思っていた上司は、ゲンナリです。
一方的な物言いに、この人はダメな人なんだと密かに烙印を押します。
小遣いが半分になった夫は、翌朝、妻に伝えます。
「昨日一緒に飲んだ友達もおかしいって言ってたよ!」
妻は、しょーもない友達と付き合ってんだな、と思いながら、
「来年マンション買うために、お互い節約しようって2人で決めたのに、
なんで、もうそんなことになるの!」
悲しくなって、夫への信頼が揺らいできます。
不満を確信に変えて、思い切り思ったことを言った友人は、
あっという間に、さらなる苦境に陥ります。
何が悪かったのか、さっぱり分かりません。
友人が同意してくれたし、正しいと思ったのに
予想したような展開にはなりません。
何を間違ったのでしょうか?
相談する友人を間違えました。
状況を把握できる立場でもないのに、
不満や愚痴に安易に同調する人を選んだのが間違いでした。
友人は、いとも簡単に悪循環に陥ってしまいます。